SWALLOWING REHAB
むせ・誤嚥・食べこぼし・体重減少——飲み込みの機能が落ちると、食事の楽しみと健康が同時に細っていきます。当院では、訓練と栄養指導を組み合わせ、「食べる力」を取り戻す支援を行っています。
嚥下障害について
食べ物を口に入れてから胃に送り込むまでには、認知・準備・口腔・咽頭・食道という5つの段階があり、それぞれに専用の筋肉と神経が関わっています。加齢・脳血管疾患・神経難病・廃用症候群などにより、このどこかが弱ると「嚥下障害」になります。
嚥下障害は、誤嚥性肺炎・低栄養・脱水のリスクを大きく押し上げます。一方で、舌・口唇・咽頭の筋肉は、適切なリハビリで再び鍛えることができます。「食べる力」は、取り戻せます。
01 — ASSESS
問診(EAT-10等)・反復唾液嚥下テスト(RSST)・改訂水飲みテスト(MWST)などのスクリーニングで、嚥下のどこに問題があるかを把握します。必要に応じてVE検査(嚥下内視鏡)で可視化します。
02 — TRAIN
パタカラ体操・舌の運動・口唇のストレッチ・頸部の可動域訓練・シャキア法など、食べ物を使わずに筋肉と神経の動きを整えるトレーニング。ご自宅でも続けられる内容を組み立てます。
03 — EAT
実際の食べ物を使った訓練と、安全に食べるための姿勢・一口量・食形態(とろみ・きざみ等)の調整。管理栄養士が「美味しく・安全に」を両立する献立をご提案します。
04 — FOLLOW
月1回程度の継続管理で、改善状況を確認しながらプログラムを調整。ご家族・ケアマネジャー・主治医・施設職員と情報を共有し、生活全体で「食べる」を支えます。
FOR WHOM
「最近よくむせる」「食事に時間がかかる」「食べこぼしが増えた」「体重が落ちてきた」「肺炎を繰り返している」「脳梗塞後で食べる力が落ちた」「神経難病で飲み込みが心配」——いずれかに当てはまる方は、嚥下リハの対象です。まずは評価からご相談ください。
※ 訪問診療でも、外来と同等のリハをご提供できます。介護施設・病院との連携にも対応します。
「食べる力」は、ある日突然失われるものではありません。段階を踏んで、ゆっくりと衰えていきます。多くのご家族が異変に気づくのは、最後の段階に入った頃。しかし、もっと早い段階で介入できれば、回復・維持はずっと容易になります。
第1段階は「お口の準備期」の衰え。咀嚼の効率が下がり、食塊形成(食べ物をひとまとめにする)が不十分になります。第2段階は「喉への送り込み」の衰え。舌の動きが弱まり、食べ物を喉に送り切れず、口の中に残ります。そして第3段階が「飲み込みの衰え」——気管へ食物が落ち込む誤嚥が起こり、肺炎リスクが顕在化します。
第1・第2段階は外見からは見えにくく、本人も「年のせい」と片付けがちです。しかしこの段階で介入できれば、リハビリの効果は劇的。「最近、食事の様子が変わった」と感じたら、それが介入のサインです。
「むせる」より前の段階で、
気づける目を持つ。
——専門家の視点が、人生の最後の食事の質を変えます。
01 — INDIRECT
食べ物を使わずに、嚥下に必要な筋肉や反射を鍛える訓練。パタカラ体操・舌の筋トレ・嚥下おでこ体操・喉のアイスマッサージなどが代表例。誤嚥のリスクが高い段階でも安全に実施でき、リハビリの基盤となります。
02 — DIRECT
実際に食べ物を使った訓練。ゼリー・とろみ水から始め、嚥下機能の改善に合わせて段階的に食形態を上げていきます。「食べる楽しみ」を取り戻すと同時に、実用的な嚥下能力を鍛えます。
03 — POSTURE
座位の角度、頸部の前屈、横向き嚥下、複数回嚥下など、誤嚥を防ぐ食べ方の工夫。機能を「鍛える」のではなく、現在の機能で「安全に食べる」方法を構築します。即効性が高い対策です。
04 — FOOD MODIFICATION
嚥下機能に応じてとろみ・きざみ・ペースト食を組み立てます。安全と「美味しさ」「栄養」の両立が重要。管理栄養士が、ご家庭の状況に合わせた現実的な食事プランをご提案します。
STEP 01
EAT-10質問票、RSST(反復唾液嚥下テスト)、MWST(改訂水飲みテスト)など、簡易検査で全体像を把握。ご家族のお話と、日常の食事の様子も伺います。
STEP 02
必要に応じて、内視鏡で実際の飲み込みの様子を観察。誤嚥の有無・残留の位置・喉頭知覚を直接評価し、リハビリの方針決定に活かします。
STEP 03
検査結果に基づき、間接訓練・直接訓練・姿勢・食形態の組み合わせを設計。ご本人とご家族のご希望、生活環境を踏まえて、現実的に続けられる内容に落とし込みます。
STEP 04
外来・訪問で月数回の専門訓練と、ご自宅での自主訓練を組み合わせます。動画・チェックシートでご家族にも具体的にお伝えし、生活の中で続けられる仕組みに。
STEP 05
1〜3ヶ月ごとにスクリーニング・VEで効果判定。機能が回復していれば食形態を上げ、停滞していれば訓練内容を変更。「見える化」を続けることが、続ける力になります。
嚥下機能に応じて、家庭で再現可能なメニューと調理のコツをお伝えします。とろみのつけ方、きざみの大きさ、ペーストへの加工法——実用的な指導が中心です。
食事量が減りやすい状況で、サルコペニアを防ぐためのタンパク質摂取・カロリー設計を一緒に考えます。栄養補助食品の選び方もご提案します。
安全のために食形態を下げると、味気なく感じられがちです。見た目・温度・盛り付け・季節感の工夫で、食事への意欲を保つ提案を心がけます。
毎食、特別なメニューを用意するのは大きな負担です。市販のレトルト介護食の活用、家族と同じ料理の取り分け方など、続けられる仕組みを優先します。
「パ・タ・カ・ラ」をそれぞれ8回ずつ、できるだけはっきり発音。お口の準備運動として、食事前に行うと安全に食べられます。
手のひらをおでこに当て、頭で押し返すように力を入れて5秒キープ。1日3回×10セット。喉の挙上に関わる筋肉を鍛え、誤嚥防止に直結します。
耳下腺・顎下腺・舌下腺を指でやさしく10回マッサージ。唾液分泌が促され、嚥下のしやすさと口腔の自浄作用が向上します。食事前に効果的。
舌を前後・左右・上下に動かす、口の中で大きく円を描く。各10回。舌圧と運動範囲を保ち、咀嚼と嚥下の効率を上げます。
ゆっくり深呼吸を5回、続けて好きな歌を1曲歌う。呼吸機能と発声に関わる筋肉が鍛えられ、嚥下時の呼吸停止・咳反射の力が保たれます。
EVIDENCE
嚥下リハビリは、経口摂取の維持や誤嚥性肺炎の再発予防に寄与する可能性が示されています。代表的な介入研究データをご紹介します。
70%
嚥下リハ実施群での経口摂取維持率
介入研究では、嚥下リハビリを継続的に実施した群でおよそ7割が経口摂取を維持できたと報告されています。
出典: 日本嚥下医学会 関連介入研究
30%
誤嚥性肺炎の再発予防効果
嚥下リハ実施により、誤嚥性肺炎の再発率がおよそ30%抑えられる可能性があるとする報告があります。
出典: 老年医学関連 介入研究報告
4種類
主要なリハ手法
間接訓練・直接訓練・姿勢調整・食形態調整の4本柱が、嚥下リハビリの基本的な枠組みとされています。
出典: 嚥下リハビリテーション 標準教科書
1-3ヶ月
効果実感までの目安期間
標準的なプログラムでは、おおむね1〜3ヶ月で機能変化が見られると報告されているとされています。
出典: 嚥下リハビリ標準プログラム 関連資料
※ 一般的な研究データであり、個別の効果や成功を保証するものではありません。効果には個人差があります。
CONTACT
嚥下評価・リハビリのご相談は、訪問専用ダイヤルへ。ケアマネジャー様・施設職員様からのお問い合わせも承ります。