EMERGENCY RESPONSE
訪問先で遭遇しやすい口腔トラブル4場面について、初動の考え方・歯科への連絡判断・夜間休日の対応窓口を整理しました。
INTRODUCTION
訪問先で「歯ぐきから出血が止まらない」「夜中に痛みを訴える」「義歯が割れてしまった」といった場面に遭遇することがあります。緊急性の高低をその場で見立てて、応急処置と次の連絡先を判断することが、訪問看護師の専門性が活きる場面です。
本記事では、現場でよく出会う4つの場面を取り上げ、初動の考え方と歯科への連絡判断を整理しました。応急処置はあくまで一般的な情報であり、個別の対応は主治医・歯科医師にご相談ください。
監修
歯科医師 桐生 賢太
訪問歯科診療・高齢者歯科・口腔ケア・食支援に関する情報を監修
01 — BLEEDING
口腔ケア中の軽い出血は、歯周病の進行を示すサインのことがあります。一般的には清潔なガーゼで5〜10分の圧迫止血が初動です。抗血栓薬(ワルファリン・DOAC・抗血小板薬)服用中の方は、止血しにくいことがあります。30分以上止血困難、再出血を繰り返す、出血量が多い場合は、主治医・歯科医師への連絡を検討します。
02 — TOOTH PAIN
痛みの性状(拍動性・鋭い痛み・しみる)・場所・誘発因子(温冷・咬合)・持続時間を確認します。腫脹・発熱を伴う場合、急性炎症の可能性があり、歯科への早めの連絡が望ましい状況です。処方薬の鎮痛薬は主治医の指示の範囲で使用し、夜間休日であれば翌診療日に歯科受診の調整を行います。
03 — SWELLING
顔面・頸部の腫脹は、歯性感染症の進行や蜂窩織炎が背景にあることがあります。発熱・嚥下困難・呼吸困難の併発は重症化のサインで、医科への緊急連絡を検討します。腫脹だけであれば翌診療日の歯科受診で対応可能なケースもありますが、判断は主治医・歯科医師にご相談ください。
04 — DENTURE BREAK
義歯が割れた・床がひびいた・人工歯が外れた場合は、破片をすべて回収し、湿潤環境(ティッシュで包む・水で湿らせた容器)で保管します。接着剤での自己修理は推奨されません。歯科受診まで食事形態を一段階下げる、軟菜やペーストに変える等で対応します。義歯紛失の場合は新製の検討となるため、早めに歯科に連絡します。
DECISION FRAMEWORK
緊急度に応じて、連絡先と動きは変わります。事前にご家族・利用者さんと「ふだんの歯科」「夜間休日の連絡先」を共有しておくと、いざというときに迷いません。
診療時間内の歯科トラブルは、まずかかりつけ歯科に状況を伝えます。訪問歯科を導入していれば、訪問の前倒し対応の相談ができることもあります。
自治体ごとに「歯科休日急患診療所」が設置されていることがあります。事業所内で地域の歯科救急情報をまとめておくと、夜間休日の判断が早くなります。
発熱・呼吸困難・嚥下困難・大量出血を伴う場合は、医科(主治医・救急)への連絡を優先します。歯科救急で対応できる範囲を超えている可能性があります。
発症時刻、状況、初動、連絡先、対応結果を記録します。翌訪問担当・ケアマネ・歯科への情報共有がスムーズになり、再発予防の検討材料にもなります。
本記事は、口腔の緊急対応に関する一般的な情報提供を目的としています。応急処置・救急受診の判断は、利用者さんの状態と主治医・歯科医師の指示にもとづいて行ってください。
CONTACT
「これは歯科の領域だろうか」と迷ったときの相談先として、診療時間内であればお電話を承ります。緊急性の判断にもご活用ください。