POST-DISCHARGE ORAL CHECK
入院中に進みやすい口腔の問題を、退院後の初回訪問〜2週間で確認したいポイントとして整理しました。再入院リスクの低減につながる視点です。
INTRODUCTION
入院中は、絶食期間・経管栄養・絶飲食・薬剤の影響などで、口腔内環境が大きく変化することが報告されています。義歯を外したままになっていたり、口腔ケアの頻度が落ちていたりすると、退院時には入院前と異なる口腔状態になっていることもめずらしくありません。
退院後の初回訪問は、その変化に気づける貴重なタイミングです。訪問看護師が押さえておきたい観察項目と、歯科につなぐ判断のヒントを整理しました。
監修
歯科医師 桐生 賢太
訪問歯科診療・高齢者歯科・口腔ケア・食支援に関する情報を監修
01 — DRY MOUTH
入院中の絶食・酸素投与・複数薬剤の影響で、退院時には口腔乾燥が進んでいる方が多くいらっしゃいます。唇のひび割れ、舌の発赤、口蓋に粘膜が張りつくような感覚、舌苔の蓄積などが目印になります。乾燥は誤嚥性肺炎・口臭・う蝕リスクと結びつくため、保湿ケアの開始も含めて見直したい項目です。
02 — DENTURE STATE
入院時に義歯を外して紛失・破損する事例は珍しくありません。「義歯はいつから外していますか」「持ち帰った義歯はありますか」とご家族に確認します。義歯が長期間外れていた場合、歯肉の痩せや口腔粘膜の変化で適合が変わっていることもあります。装着時の痛み・違和感の有無も観察します。
03 — EATING
退院時の食事形態(常食・軟菜・刻み・ペースト等)と入院前の状態を比較します。むせの頻度、食事時間の延長、食後の声の湿り、夕方の微熱などは、嚥下機能の低下や誤嚥性肺炎の徴候のことがあります。退院時サマリーの嚥下評価結果も併せて確認すると見立てが立てやすくなります。
04 — MUCOSA
経管栄養の経過があった方は、口腔内が使われずに粘膜が脆くなっていることがあります。白苔(口腔カンジダ症の可能性)、潰瘍、出血、口角びらんなどはチェックしておきたい所見です。歯肉の発赤・出血は歯周病の悪化や口腔ケア中断の影響を示すことがあります。
05 — CARE ROUTINE
入院前の口腔ケア習慣(誰が・いつ・何で)が、退院後にそのまま戻せるかを確認します。ADLの低下、認知機能の変化、義歯の状況によっては、用具や手順の見直しが必要です。介護者が変わった場合は、改めて手技の確認も。ここで歯科衛生士の居宅療養管理指導を入れる選択肢を、ケアマネと共有しておくと動きやすくなります。
REFERRAL DECISION
退院後早期に歯科介入が望ましいケースには共通点があります。次のような場合は、ケアマネと相談のうえ訪問歯科の依頼を検討すると、利用者さんの負担が減る場面が多いです。
2週間以上義歯を装着していなかった場合、装着時に痛みや不適合が出やすくなります。早めに歯科で確認しておくと、その後の食事再開がスムーズです。
入院前は常食、退院後はペースト食といったケースでは、口腔機能評価と嚥下評価が役に立つことがあります。歯科で摂食嚥下のサポートを受けられる施設もあります。
口腔カンジダ症や粘膜炎が疑われる所見は、歯科での評価と処置が望まれます。痛みで食事量が落ちる前の対応が肝心です。
退院後の再発予防に、専門的口腔ケアの位置づけが大きくなります。歯科衛生士の介入も含めて検討の余地があります。
本記事は、退院後の口腔状態に関する一般的な情報提供を目的としています。個別の評価・処置については、主治医・歯科医師にご相談ください。
CONTACT
退院後早期の歯科介入は、再入院リスクの低減や食事再開のスムーズさにつながる場面があります。お電話でご相談を承ります。