POST-HOSPITAL ORAL DECLINE
入院から戻られた利用者さんの口腔は、入院前と異なる状態になっていることがあります。受け入れ時の評価から歯科介入の調整までを整理しました。
INTRODUCTION
骨折・誤嚥性肺炎・脳血管疾患などで入院されると、絶食期間・経管栄養・複数薬剤の影響などで、口腔内環境は短期間で大きく変化することが知られています。義歯を外したまま入院期間が長引くと、装着時に痛みや不適合が出てくることもあります。
施設に戻られたとき、入院前と同じ口腔ケア計画では合わない場面があります。受け入れ時の口腔評価と、必要に応じた歯科介入の調整は、その後の食事再開・QOL維持に大きく影響します。
監修
歯科医師 桐生 賢太
訪問歯科診療・高齢者歯科・口腔ケア・食支援に関する情報を監修
01 — INTAKE INFO
入院期間、絶食期間、経管栄養の経過、嚥下評価結果、口腔内処置歴、退院時の食事形態、口腔ケアの実施状況など、口腔に関連する情報を退院時サマリーから拾います。情報が不足する場合は病院の地域連携室に追加照会するルートを整えておくとスムーズです。
02 — VISUAL CHECK
受け入れ当日〜翌日に、口腔内の目視チェックを行います。義歯の有無と装着可否、口腔乾燥、舌苔、口腔粘膜の発赤・潰瘍・白苔、歯肉の発赤・出血、口臭。スマートフォンで写真を残すと、後日の歯科連携で共有しやすくなります(個人情報の管理は事業所ルールに準拠)。
03 — DIET ADJUSTMENT
退院時の食事形態を踏襲しつつ、施設での観察結果を踏まえて調整します。むせ、食事時間の延長、食後の声の湿りなどの所見は、栄養士・看護師・介護職員間で記録を共有。歯科介入後に食形態のステップアップが可能になるケースもあるため、評価のタイミングを設定します。
04 — DENTAL REFERRAL
義歯の不適合、口腔内の白苔・潰瘍、食事形態の低下が見られる場合は、早めに歯科に相談します。施設に協力歯科がある場合は協力歯科に、ない場合はご家族のかかりつけ歯科や訪問歯科に連絡します。施設長・看護職員と連携し、家族同意のもと進めます。
05 — CARE PLAN UPDATE
入院前の口腔ケア計画はそのまま使えるかを再評価します。ADLの低下、認知機能の変化、咀嚼能力の変化に応じて、ケアの頻度・用具・介助レベルを見直し。口腔衛生管理加算の対象見直しや、施設職員の研修テーマとしての位置づけも検討材料になります。
COORDINATION TIPS
入院後の口腔ケアの立て直しは、施設内の複数職種と外部の歯科職員が関わる場面です。次の論点を関係者で押さえておくと連携がスムーズです。
看護・介護・栄養・相談員、それぞれが入院後の口腔変化を共有できるよう、申し送り票や記録様式に口腔項目を入れておきます。
「入院前と同じように食べられない」「義歯が合わなくなった」は、ご家族にとって心配な変化です。理由と対応の見通しを、丁寧にお伝えします。
入院中に追加された抗血栓薬・骨粗鬆症治療薬は、抜歯等の歯科処置に影響します。主治医・歯科医師での情報共有が前提になります。
同様のケースは今後も発生します。受け入れ時の評価項目・歯科連絡の判断軸を、施設研修の題材にすると組織知化につながります。
本記事は、施設での口腔ケア・歯科連携に関する一般的な情報提供を目的としています。個別の評価・処置・ケア計画は、主治医・歯科医師・施設の運営方針にもとづいて行ってください。
CONTACT
入院後の受け入れ時の評価、定期的な歯科健診、口腔ケアの研修など、施設との連携形式は柔軟にご相談いただけます。お電話でご質問ください。