TUBE FEEDING & ORAL CARE
胃ろう・経管栄養の方にも口腔ケアが必要とされる理由を、誤嚥性肺炎・口腔機能・経口再開の3つの観点から整理します。
監修
歯科医師 桐生 賢太
訪問歯科診療・高齢者歯科・口腔ケア・食支援に関する情報を監修
A COMMON MISUNDERSTANDING
胃ろうや経管栄養で経口摂取をしていない方について、「口から食べないから口腔ケアは不要では?」と感じる場面があるかもしれません。しかし、口腔ケアは食事のためだけのケアではありません。
経口摂取がない状況でも、唾液分泌の低下、自浄作用の低下、舌苔・歯垢の蓄積、口腔乾燥、粘膜の脆弱化などが進みやすく、誤嚥性肺炎のリスクや口腔機能の低下と関連すると考えられています。本記事では、その背景と現場で意識したい関わりを整理します。
01 — PNEUMONIA
経口摂取がなくても、唾液や分泌物の不顕性誤嚥が起こり得るとされています。口腔内の細菌が多くなると、誤嚥した際の肺炎リスクとの関連が指摘されており、口腔ケアによる細菌量のコントロールは、経管栄養の方にも意味のある関わりと考えられています。
02 — FUNCTION
口を動かさない時間が長く続くと、舌や頬の筋力、口の開閉、嚥下に関わる機能が変化していくことが知られています。口腔ケアの時間は、口を動かす・刺激する貴重な機会にもなります。
03 — SALIVA
食事による咀嚼刺激がないと、唾液分泌が減りやすく、自浄作用も低下しがちです。口腔乾燥が進むと、舌苔や粘膜の汚れが固着しやすく、ケアの難易度も上がります。保湿を意識した毎日のケアが土台になります。
04 — REINTAKE
全身状態の改善などにより、少量の経口摂取(楽しみ程度の食事)を再開できる場合があります。口腔内が清潔で機能が保たれていると、再開の選択肢を検討しやすくなります。経管栄養期間中の口腔ケアは、その時に備える関わりとも言えます。
05 — FAMILY
口腔内が清潔に保たれていることは、口臭の軽減、表情の落ち着き、ご家族の関わりやすさにもつながります。「触れることができる時間」をご家族と共有する場としても、口腔ケアの意味は小さくありません。
NOTE
経管栄養の方の口腔ケアでは、誤嚥配慮・吸引との併用・適切な姿勢・痛みのある部位の把握が大切です。訪問歯科と訪問看護で関わり方を相談しながら進めていただけると安心です。
PRACTICAL TIPS
頭を少し横向きにする、上体を上げる、吸引を併用するなど、誤嚥に配慮した方法を多職種で共有します。
乾燥した粘膜への摩擦は痛みのもとです。スポンジブラシと保湿ジェルを組み合わせ、固着した汚れをやわらかくしてから取り除きます。
主治医・訪問看護・訪問歯科・ケアマネで方針を共有しておくと、急変時や経口再開の検討時の判断もしやすくなります。
CONSULT
胃ろう・経管栄養の方の口腔ケアで迷うことがあれば、歯科にもご相談ください。当院の訪問歯科でもお気軽にお問い合わせいただけます。
本記事は、口腔ケア・訪問歯科に関する一般的な情報提供を目的としており、特定の診断・治療を保証するものではありません。個別のケースについては、歯科医師または主治医にご相談ください。