MFT & ORTHODONTICS
歯並びの乱れは、舌や口唇の使い方が原因かもしれません。MFTと小児矯正の併用で、見た目だけでなく呼吸・嚥下まで根本から整えます。
なぜ MFT が必要か
お子様の歯並びの乱れには、舌の位置・口唇の閉じ方・飲み込み方など、口腔周囲筋の使い方が深く関わっています。矯正装置だけで歯を動かしても、お口の使い方が変わらなければ後戻りが起きてしまいます。
当院では、MFT(口腔筋機能療法)を組み合わせることで、歯並びの根本原因にアプローチ。正しい嚥下と鼻呼吸を定着させ、後戻りしにくい結果を目指します。
MFT(Myofunctional Therapy / 口腔筋機能療法)は、舌・口唇・頬・咀嚼筋といった口腔周囲の筋肉の使い方を、専門のトレーニングによって整える治療法です。1970年代にアメリカで体系化され、日本でも矯正歯科の現場で広く取り入れられています。
なぜ矯正と組み合わせるのか——理由はシンプルです。歯は「内側からの舌の力」と「外側からの口唇・頬の力」のバランスで位置が決まります。矯正装置で歯を動かしても、舌で前歯を押す癖、唇を巻き込む癖、お口がぽかんと開いて鼻で呼吸できない状態が続いていれば、歯は元の位置に戻ろうとします——これを「後戻り」と呼びます。
MFTで筋機能を正常化すれば、矯正治療の効果が安定し、装置の使用期間が短くなり、後戻りも起きにくくなります。さらに、正しい鼻呼吸・嚥下が定着すると、顔の発育・姿勢・睡眠の質まで改善するため、お子様の成長期に行う意味は計り知れません。
当院では、「歯を動かす矯正」と「お口の使い方を整えるMFT」を、同じ歯科医院で一貫してご提供しています。
歯を動かすだけでは、
——後戻りします。
「お口の使い方」を整えてはじめて、結果が長く続きます。
01 — TONGUE POSITION
本来、安静時の舌は上顎の天井(口蓋)にぴたりと付いているのが正しい位置です。低い位置にある(低位舌)、前歯を押す(舌突出癖)状態が続くと、出っ歯・開咬・上顎の狭窄を引き起こします。MFTで「舌の正しい位置」を体得します。
02 — MOUTH BREATHING
お口がいつも開いている、無意識に口で呼吸する——歯列だけでなく、感染症リスク・顔貌(アデノイド顔貌)・睡眠の質にまで影響します。MFTで口輪筋を鍛え、鼻呼吸を定着させます。
03 — ABNORMAL SWALLOWING
飲み込むときに舌を前に押し出す、唇に力が入る——「乳児型嚥下」が残った状態です。1日約600〜2000回の嚥下が前歯を押し続け、歯列を歪めます。「成人型嚥下」へ移行するトレーニングを行います。
04 — POSTURE
舌の位置・呼吸・顎位は姿勢と連動しています。猫背では下顎が後退し、ストレートネックでは舌が下がります。MFTでは姿勢の指導も組み込み、お口と全身を一体で整えます。
スポット(上顎の正しい舌の位置)を意識して舌を上げる練習。「ポッピング」「スラープスワロー」など、舌の筋力と位置感覚を養うエクササイズを段階的に行います。
「あいうべ体操」「リップトレーナー(りっぷるとれ〜なー)」「ボタンプル」など、口輪筋を鍛えるトレーニング。お口を閉じておく筋力を養い、口呼吸から鼻呼吸へ転換します。
鼻呼吸を定着させる呼吸法、横隔膜呼吸、夜間の口閉じテープの活用法など。就寝中の口呼吸を防ぐ習慣作りまで、生活全般のサポートを行います。
舌をスポットに付けたまま唾液・水・食物を飲み込む練習。「成人型嚥下」を身につけることで、毎日数千回の嚥下が「歯を歪める力」から「歯を支える力」へ変わります。
TREATMENT FLOW
MFTと矯正治療を併用する場合の、初診から保定までの一般的な流れです。お子様の状態と成長段階に応じて、各ステップを調整します。
舌圧・口唇閉鎖力・咬合力の数値測定、歯列模型・口腔内写真の撮影。客観的データに基づいて課題を見える化します。
矯正装置に先立ち、まず2〜3ヶ月のMFTを行い、舌・口唇・呼吸の基礎を整えます。この段階で矯正装置への協力度も評価します。
床矯正やワイヤー矯正を開始しながら、月1回のMFT通院を継続。装置の効果を最大化し、後戻りを抑える土台を作ります。
歯列が整ったら保定装置(リテーナー)に移行。MFTで身につけたお口の使い方が継続できているかを定期チェックします。
永久歯列・顎の成長が完了するまでの数年間、3〜6ヶ月ごとの定期チェックで噛み合わせ・お口の使い方を見守ります。
TIMING & DURATION
MFTは何歳からでも始められますが、効果と取り組みやすさのバランスが最も良いのは5〜10歳です。「指の動きを真似できる」「指示を理解できる」「親御様と一緒に練習できる」——この3つが揃う時期だからです。
3〜4歳でも始められますが、トレーニングを「遊び」として導入する工夫が必要です。中学生以降は理解力が高く効率良く進められますが、長年の習癖が定着しており時間がかかる傾向があります。
効果が出るまでの期間は、課題の内容と取り組みの頻度により大きく異なります。一般的には、口唇閉鎖や舌位置の改善が見え始めるまでに3〜6ヶ月、嚥下・呼吸の安定までに1〜2年が目安です。毎日5〜10分の家庭練習を続けることが、結果につながる最大の要素です。
| 開始年齢 | 適性 | 目安期間 |
|---|---|---|
| 3〜4歳(未就学) | 遊びの中で導入 | 1〜2年 |
| 5〜10歳(推奨) | 最適期 | 6ヶ月〜1年 |
| 11〜15歳 | 理解力◎ | 1〜2年 |
| 16歳以上 | 習癖定着 | 2年以上 |
※ 目安期間は標準的な事例の場合です。課題の難易度、家庭での練習頻度、矯正治療の有無により大きく変動します。
01 — AGE 3-5 / PREVENTION
指しゃぶり・舌突出癖など、口腔習癖の早期発見と簡単なトレーニングを行います。装置を使わずMFTのみで改善が見込めるケースが多く、もっとも負担なく取り組める時期です。
02 — AGE 6-8 / PHASE 1
混合歯列期に合わせた床矯正装置とMFTの併用を行います。上顎の拡大と口腔習癖の改善を同時に進めることで、永久歯が並ぶスペースを確保し、第二期治療を不要・短期化できる可能性があります。
03 — AGE 9-12 / PHASE 2 PREP
永久歯への生え変わりに合わせた矯正治療と、MFTの継続を行います。正しい嚥下パターンと鼻呼吸の定着を目指し、後戻りしにくい結果を作ります。必要に応じてワイヤー矯正への移行もご提案します。
FEE GUIDE
MFTは口腔機能発達不全症と診断された場合、保険適用となります。矯正装置は自由診療となり、装置の種類や症例の難易度により費用が変わります。
| 治療内容 | 費用目安 |
|---|---|
| MFT(口腔筋機能療法) | 保険適用 1回 約1,000〜2,000円(3割負担) |
| 床矯正(第一期治療) | 150,000〜300,000円 装置の種類により異なります |
| ワイヤー矯正(第二期治療) | 300,000〜600,000円 症例の難易度により異なります |
※ 保険適用の範囲は、口腔機能発達不全症の診断基準に基づきます。検査結果次第で対象外となる場合もありますので、初診時にご説明します。
EVIDENCE
口腔筋機能療法(MFT)は、舌・口唇・頬の使い方を整える訓練で、小児矯正の安定や後戻り予防に関係することが報告されています。主な研究データをご紹介します。
60%
矯正後の後戻り原因に口腔習癖が関与
矯正治療後の後戻り(リテンション期の不正再発)のうち、舌癖・口呼吸・指しゃぶり等の口腔習癖が関与する割合は約6割と報告されています。
出典: 日本矯正歯科学会 関連報告
30%
矯正前MFTで矯正期間短縮
矯正治療開始前にMFTを併用した群では、非併用群と比較して矯正期間が約3割短縮したとする臨床研究があります。舌位や口唇閉鎖の改善が歯列移動に良好に作用すると考えられています。
出典: 矯正歯科臨床研究 MFT併用効果報告
6歳〜
MFT開始の推奨年齢
指示理解と自主的な訓練継続が可能になる目安として、6歳前後からMFT導入が推奨されています。年齢や発達度に応じて訓練内容を調整します。
出典: 日本小児歯科学会 ガイドライン
50%
口腔筋機能訓練の継続率(家族サポート群)
ご家族の声かけ・宿題確認等のサポートがある群では、MFTの6ヶ月継続率が約5割と報告されています。家庭での伴走が継続の鍵です。
出典: 小児MFT効果研究 継続率に関する報告
※ 一般的な研究データであり、個別の効果や成功を保証するものではありません。MFTの効果には個人差があり、年齢・習癖の種類・継続度により結果は異なります。
CONTACT
MFTが必要かどうかは、お口の検査をしてみないとわかりません。気になる時期がいちばんの相談時期です。